ヨシダナギの拾われる力

ヨシダナギさんのぶっ飛んだ話が驚きだったのはもちろんとても読みやすく、一晩でさらっと読めるようなある意味薄っぺらい内容なのに人生のためになる本でした。我慢・忍耐が美談とされることが流通しているこの国でできないことはやれるやつにやらせればいい。みたいな感じでスパっっっと言ってくれるのは本当に気持ちがよかった。手を抜くことしか考えていない。みたいな自虐的内容もありましたがそれは自分を下げて書いているだけで、相当要領のいい人。自分がやらなきゃ・・・・自分が自分が・・・と疲れ気味の人は一度読んでみると肩の力がスっと降りると思う。フォトグラファー、ヨシダナギ。という肩書き上、写真撮影や写真とリタッチは自分でやるがそれ以外のできないこと、面倒なこと、時間がかかること、は、やりたいやつ・やれるやつにやってもらえばいい。これは、どんな仕事にも通じることであると思う。自分の譲れない何かにはこだわりをもち、できないことは、できる人に頼る。私にはできないことが多すぎるから、頼れそうな人には愛想を振りまいてヘラヘラしていたら拾われた。と、またもかなりコミカルに書かれているが、それを見極める要領のよさを持っているからできること。写真は好きでも嫌いでもないレベルでフォトグラファーって、どんだけラッキーなんだ？と思っていたらイラストレーターとして地べたに這いつくばってでも努力されていた頃のフォトショ経験があってのことだと気付いた時は、やっぱりすごい人だなと思った。写真の腕で勝負していないところの着眼点も面白い。あれだけゴリゴリなレタッチが施されているのを、サラッとそしてけろっと書いてある。アートと写真の融合というジャンル。なんのために読んだのかも、なぜ手に取ったのかもわからないが予想以上に良かったのでレビューを書いてみた。