韓国がタブーにする日韓併合の真実

嫌韓反日と言われて、長い時間が経っています。韓国のことは「近いながら遠い国」と言われていますが、「遠くに置きたい国」と言う方が合っているような気がします。日本人が書いた「韓国関連」の本には、どこか必ず感情が含まれていて、読後にそこはかとなくしこりのようなものを感じます。しかし、この本にはそのようなしこりのような不快な感じがありませんでした。それは筆者が韓国人であり、祖国への「真の愛」を持った方だからだと思います。韓国の現状には憂うべきものがあり、その現状を肯定し、日本を批判するのが「韓国では愛国者」と呼ばれているようです。しかし、それは「真の愛国」ではありません。筆者は研究者であり、日本という外国に滞在したからこそ客観的に韓国を見ておかしいと感じ、それを正さなければ国がいつまで経っても大国の属国意識が抜けないと批判しています。そしてそれをもたらしたものの元凶は、１）大中華思想（大国の属国になり庇護を受ける）、２）儒教、とのこと。２）儒教自体が悪いとは思いませんが、それを社会が取り入れて活用する時点で弊害が生じてしまいました。儒教の徳目で一番の「孝」の縛りが朝鮮半島の社会を縛り、無批判に一族第一主義になってしまったとのことです。儒教導入後、権力者が交代すれば、前の権力者は一族郎党追放され、見せしめに処罰され、次の権力者と一族郎党が潤う社会システムに代わってしまったと書かれています。この事は共産主義に似ています。共産主義も、マルクスが考案した当初は、貧富の差を無くすため富の均衡化を図り、究極的には全ての人が（経済的に）等しく生きる社会を目指したものでした。しかし、共産主義を取り入れた国家では、富の均衡化は競争力をそぎ落とし、人々から労働意欲を低下させました。一方で、全ての国民の富を均衡化させるために民間企業は存在せず、労働者の全てが公務員となり上に立つ官僚や政治家の権限は強大になり、怠惰な一般国民と権力争いをする官僚、政治家との格差が広がるようになり崩壊して行きました。共産主義は、ソヴィエト・東欧のように資本主義の前に崩壊するか？中国のように都合の良い部分だけ資本主義を取り入れて（事実上）資本主義に飲み込まれるか？北朝鮮やキューバのように共産主義と言うより独裁国家として存続するか？と言う悲惨な結末に陥っています。マルクスが考えた思想、その高邁な精神を理解して運用できるまでに人間社会が成熟していないのです。儒教も同じことが言えます。孔子の高邁な精神を理解して運用できるまでに、人間社会が成熟していなかったのです。従って、一番の徳目である「孝」、親、親族、祖先を敬う「孝」の思想が、低俗な縁故主義へと変貌し、それが国家の呪縛となって行きました。著者は同じく儒教を取り入れた日本は、この危うさを察知していたからこそ、江戸幕府は国家体制を強固にするために、「孝」より国家（藩）への「忠」を優先させた、いわゆる「儒教（改）」としたため異常な国家にならずに済んだと述べています。今の韓国を見ても、大統領が何代代わろうとも、その一族の汚職が必ず起こり、そして前大統領や一族の逮捕者が続出します。金大中氏も例外ではありませんでした。私は、なぜ飽きもせずこんな愚かな事が延々と繰り返されるのかずっと不思議でしたが、この本を読んで目からうろこが落ちました。遠ざけたい国ではあっても、地政学上関わらざるをえない国でもあります。韓国（北朝鮮）とはどんな国なのか？理解するために必読といっても良い本だと思います。李氏朝鮮時代の５００年と、日本の江戸時代の２６０年を比較するなど、日本がなぜ発展したのかについての言及もあり、興味深く読む事ができます。大中華思想と儒教の毒に毒されるまでは、朝鮮の人々は「勤勉で真面目で正直で誇り高い」人たちだったそうなので、もし為政者が後ろ盾に中国を得ようとして属国になった事（大中華思想）、儒教を取り入れた事、もしこれらがなければ韓国も台湾同様「近くて近い国」だったのかも知れません。もっとも中国やロシアと地続きなので、国が生き残るために大国につくのは無理からぬ事かも知れません。「戦前の独立国であった日本とは異なり、今の日本にも李氏朝鮮のような雰囲気がある」という筆者の言葉には突き刺さるものがありました。朝鮮半島の歴史、日本の歴史から、今の日本を見直すためにも、この本はその良い機会になると思います。