クラウドエンジニア養成読本[クラウドを武器にするための知識&実例満載! ] (Software Design plusシリーズ)

本書は、導入事例や各社クラウドサービスの比較を通して、最新のクラウドの潮流を伝える。全体的に事例などAWSが中心であるが、Google GCPやMicrosoft Azureとの比較も盛り込まれている。例えば、以下のような内容。■ゼロから学ぶクラウドの世界：経営的なクラウド利用のメリットとしては、大きく2つ。①初期投資から解放されて小さく始められるスモールスタート。②余剰リソースからの解放。クラウドの技術面のメリットとしては、物理層の仮想化とソフトウェアのサービス化。これらに共通するのは、クラウドの利用により本質的な部分や付加価値が高い部分への人的リソースの集中につながること。クラウド時代の成長戦略としては、全体的なアーキテクチャを検討・構築する人は得意なクラウドを中心にスキルを伸ばし、特定分野のエキスパートは主要クラウドの特定分野のサービスを押さえているという棲み分けになる。■有名クラウドサービス大研究：Amazon AWSの特徴は、イノベーションの早さ。2017年には1430もの新サービス、新機能がリリースされるなど、1日当たり3以上のサービスや機能がリリースされている。また、世界規模のインフラ、高度なセキュリティ、値下げを続ける低額なコストモデルなども特徴。Google GCPの特徴は、自社の検索等にも使われる独自技術を元にした高度なインフラ、グローバルなサービス展開、サービスでやりたいこと以外を極力行わずにシステム構築・運用が可能なサーバレス/No-Ops指向な点。Microsoft Azureの特徴は、世界規模のインフラ、コンプライアンス対応、高いサービスレベル、など。■クラウドインフラ構築のポイント：システムを構成するすべての構成要素に対し障害が発生し得る前提で設計すること（Design For Failure）。例えば、複数のAZにまたがってシステムコンポーネントを冗長化するMulti-AZ構成をとる。また、疎結合で動的なアーキテクチャも重要。基本的な方針となるのが、アプリケーションをステートレスにすること。AWSの公開するAWS Well-Architected Frameworkなども参考にすべき。AWSを活用したプロジェクトに参画する上で勉強のため読了。基盤エンジニアだけでなく、業務エンジニアでも今後はこうした知識を身に着けておくことが最低限必要になると感じた。トレンドの更新が早い領域ではあるが、2018年末時点では、まだ初学者は読んでも参考になる内容だと思う。