ショッキング・ピンク 上 (MIRA文庫)

読んでいて止まらなくなりました。仲のいい15歳の女の子3人。それぞれがアメリカでありがちな多少問題のある家庭環境で育ち、互いに助け合い慰め合う親友同士。キャラクターも果たす役割もそれぞれです。そんな3人が偶然グロテスクなSMプレイを目撃してしまい、それが殺人事件に至ってしまいました。事件は未解決のまま、15年経過します。３人は一旦別れ別れになっていたけれど、再び集まって仲良く過ごしていました。ところがその町である事件が発生したとき、3人のうちの1人が精神科医として世に名前が出たことで、かつての未解決事件に関連する脅迫がされたのち同様の事件が再現されてしまいました。15年前と今回の事件の真相は…？犯人は…？エリカ・スピンドラ―は人間ドラマやサスペンスの描写が本当に上手で、引き込まれます。さらにその中に素敵なヒーローがいてロマンスもあり、そこが作品を魅力的にしていると思います。今回のヒーローは刑事ですが、文句なしに素敵でした。難を言えば、ヒロインの精神科医アンディが肝心なところで守秘義務を掲げて捜査に非協力的だったり、医師として見定める力量が不十分だったりしたところです。女性としては好感が持てるのですが。（ちなみに『内容紹介』では３人とも事件で心が歪んだような印象を受けますが、違います）ゆがんだ精神をもった人たちによって引き起こされる事件です。焦点は犯人がわかるわからないではないと思いました。人の気持ちは本当にそれぞれで、他人にはわかり得ないものだと学ばされます。読み応えのある作品でした。